全英オープン

ゴルフコースの風景を彩る、美しく青々とした芝生。その種類は実に様々ですが、中でも「フェスキュー」は独特の雰囲気を持つ芝生として知られています。 フェスキューは、他の種類の芝生に比べて細く長く成長するのが特徴です。そのため、芝生が密集して生え揃うと、まるでベルベットのような滑らかで美しい緑の絨毯を敷き詰めたような景観を生み出します。 特に、海沿いに作られたリンクコースと呼ばれるゴルフコースでは、このフェスキューが多く用いられています。スコットランドなど、海風が強く、土壌が砂地の場所では、フェスキューの強靭な性質が活かされるのです。 フェスキューは、過酷な環境にも耐えられる強い芝生として知られていますが、一方で、その育成には高い技術が求められます。水はけがよく、栄養分の少ない土壌を好むため、適切な管理が不可欠です。 毎年、世界中のゴルフファンを熱狂させる全英オープン。この伝統と格式を誇る大会の舞台となるリンクコースでも、フェスキューは選手たちを苦しめます。深いラフに打ち込んでしまうと、ボールは芝生に絡まり、クラブのヘッドは芝生に阻まれてしまいます。 しかし、フェスキューは選手たちに試練を与えるだけではありません。正確なショットを打てば、ボールはフェスキューの上を滑るように転がり、遠くまで飛んでいきます。フェスキューの存在が、戦略性とスリリングさを兼ね備えた、リンクコース特有のゲーム展開を生み出していると言えるでしょう。